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活動写真館専属アンサンブルの演奏です

サンチャゴー(ワルツ)

日下豊指揮

松竹キネマ管弦楽団(京橋松竹館専属アンサンブルと思われる)

Starkton-Record 5824

 

大正時代の中期(1920年ころ)の録音と思われる、当時の活動写真館専属アンサンブルによる録音です。なにせ、サイレント(音声なし)の時代でしたから、当時は活動写真のBGMを演奏するだけではなく、このようなセミ・クラシックや活動写真の主題歌が幕間に演奏されていたようです。

 

 で、この「松竹キネマ管弦楽団」ですが、どうやら京橋松竹館専属のアンサンブルであったようです。京橋松竹館の宣伝チラシ「週刊京橋松竹ニュース」大正12年5月25日発行の中の記事「映写順序」のなかに「日下豊」と「松竹キネマ管弦楽団」という名前が出てきます(下図)。

 

 

 まだマイクのない、ラッパ吹込みの時代の録音ですので、すさまじいノイズの奥から、貧弱な音質ではありますが、当時のアンサンブルの規模や構成、演奏技術などをうかがうことができる録音だと思います。

 

 なお、「スタークトン・レコード」ですが、当時浅草にあった「三光堂」(面白いことに、社会主義者の草分けの片山潜が設立発起人の一人になっています)が製作したものです。

 

では、その演奏ぶりをどうぞ。(久保田雅人)